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2010年9月 5日 (日)

ポーランドの至宝展@東京富士美術館

今回の記事は、東京富士美術館で開催された「ポーランドの至宝 レンブラントと珠玉の王室コレクション」展について。

展覧会の概要

東京富士美術館には今回初めて行った。 八王子の郊外の、正直言ってあまり交通の便の良くないところにあるが、立派な美術館だと思う。 観客も多くて、土曜日の午前中に行ったのだが、かなりの混雑だった。

今回の展覧会は、ポーランドの首都ワルシャワにある王宮とワルシャワ国立美術館、 およびポーランドの昔の首都クラクフにあるヴァヴェル城とクラクフ国立美術館が所蔵する絵画と工芸品100点ほどで構成されている。 時代的にはバロックあたりから近代の初めのほうにかけて、ジャンル的には肖像画、風景画、風俗画、神話画などがあった。 特に王侯貴族の立派な肖像画が多かったのが印象に残っている。

今回の展覧会の看板となっているのが、レンブラント作「額縁の中の少女」という絵で、「レンブラントのモナリザ」といううたい文句なのだが ... 正直言って、自分としては、そんなにいい絵だとは思えなかった。それよりも自分としてこの展覧会でよかったと思う作品を、以下に3つ挙げようと思う:

 

ドッソ・ドッシ作「ユピテル、メルクリウスとウィルトゥス」

ドッソ・ドッシ作「ユピテル、メルクリウスとウィルトゥス」

この絵、どっかで見たことがある、と、思ったら、東京美術の「すぐわかる」シリーズの一冊「すぐわかる ギリシア・ローマ神話の絵画」に載っている絵の一つだ。

その本ではウィーン美術史美術館蔵とされているが、展覧会カタログの解説によると、 もともとポーランドのランツコロンスキ伯爵という人が所有していたもので、 2000年に伯爵の娘に戻され、ヴァヴェル城に寄贈された、とのこと。

ユピテルが絵を描いているという、なんとも不思議な絵だが ...
これはホントにユピテルなのかとまず思うが、足元を見ると、雷が描かれているので、やっぱりユピテルなのだろう。

この絵の主題は、展覧会カタログの解説によると、イタリアの建築家アルベルティのテクストに由来するという。 「ウィルトゥス(美徳)が人間と女神から受けた冷遇についてユピテルに訴えるために神殿にやってくるが、その門の前で丸1カ月待っても取り合ってもらえない。 神々たちはキュウリの栽培や蝶の羽の絵を描くのに忙しそうである。がっかりしているウィルトゥスに、メルクリウスは、帰れと命じる。」という話だという。

 

ベルナルド・べロット作の都市景観画

ベルナルド・べロット作「聖体修道女聖堂」

1770年~1780年ごろに描かれたワルシャワの都市景観画が5点展示されているが、いずれも精緻な描写で、当時の情景が実によくわかる。

ベルナルド・べロットは、ベネチアの都市景観画で有名なカナレット(ジョヴァンニ・アントーニオ・カナール)の甥で、 時には非公式にベルナルド・カナレットと呼ばれたため、特にポーランドでは、カナレットというと伯父よりも彼のことを指す、とのこと。

 

エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン作「公妃ペラギア・サピエハの肖像」

Vigee_マリー・エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン作「公妃ペラギア・サピエハの肖像」

マリー・アントワネットの宮廷画家だったヴィジェ=ルブランの、1794年の作品。 マリー・アントワネットが死刑になったのが1793年で、その後ヴィジェ=ルブランは、フランスを逃れてイタリア、オーストリア、ロシアなどを渡り歩き、貴族を顧客として肖像画を描いていたという。

最近いろいろな美術館でヴィジェ=ルブランの描いた肖像画を目にする機会があったのだが、この人の描く女性の肖像は、どれも生き生きとしていて、美しいと思う。

展覧会カタログの解説によると、この絵はバッコスの信者(つまりマイナス)に見立てた肖像画だという。 踊るような仕草、そして頭に葡萄の葉の冠を付けているのは、マイナスの印だと思う

 

参考文献

この記事を書くにあたり、以下の本やWebサイトに掲載されている情報を参考にさせていただいた。

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