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2010年7月 4日 (日)

カポディモンテ美術館展@国立西洋美術館

国立西洋美術館で、6/26から「ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展 -ルネサンスからバロックまで-」が開催されている。 西洋古典絵画ファンとしては、今年一番面白い展覧会だと思う。 さっそく見に行って来た。

展覧会概要

この展覧会はカポディモンテ美術館の収蔵品の中から選ばれた絵画/素描/彫刻/工芸品計80点で構成されている。

展覧会カタログの論文によると、カポディモンテ美術館というのは、18世紀にナポリを統治したブルボン家(スペイン)のカルロ7世(のちにスペイン王カルロス3世となる)により創建された宮殿が元になっているという。 カルロ7世の母親はファルネーゼ家の末裔で、宮殿はそのファルネーゼ家に伝わった美術コレクションを展示するために建てられたそうだ。

ファルネーゼ家は、16世紀半ばから17世紀初めにかけて栄華を極めたイタリアの貴族で、特に1534年に教皇を輩出している。 それがこの展覧会の一番最初に胸像が展示されているパウルス3世なのだそうだ。

展覧会に出展されている作品は、時代的にはマニエリスム期からバロック期にかけての作品が中心になっている。 マニエリスム期の、よく見ると微妙に歪んだ人物像、そして、バロック期の、暗い背景に強いコントラストで描き出す情景が多く見受けられ、 その意味で、ドラマチックな作品の多い展覧会だと思う。

内容的には、キリスト教、ギリシャ神話、肖像画が多くあり、自分としては非常に興味深い展覧会だと思う。

展示内容

アンニーバレ・カラッチ作「リナルドとアルミーダ」

自分としては、今展覧会で一番よかったのはアンニーバレ・カラッチ作「リナルドとアルミーダ」だと思う。 カラッチはファルネーゼ家に重用された画家だったそうだ。

この主題は、バロック期にトルクァート・タッソという詩人により書かれた「解放されたエルサレム」という叙事詩にあるそうだ。 十字軍のイスラム教徒との戦いを描いた叙事詩で、その中のエピソードの1つとして、イスラム教徒側の魔女アルミーダが十字軍の兵士リナルドを、その美貌で誘惑するという話であるらしい。 その誘惑感がすごくよく描かれた作品だと思う。

「解放されたエルサレム(エルサレム解放)」は、岩波文庫から日本語訳が出版されているようだ。是非読んでみなければ。

グイド・レーニ作作「アタランテとヒッポメネス」

次によかったのはグイド・レーニ作「アタランテとヒッポメネス」だと思う。 躍動感がすばらしい。

アタランテとヒッポメネスという主題自体はそれほどポピュラーではないように思うが、 アタランテとヒッポメネスを描いたものの中では、この作品は非常に有名な作品らしい。 ただし、展覧会カタログの解説によると、プラド美術館にもほぼ同じ絵があって、そちらのほうが先に描かれたものであるという。

アルテミジア・ジェンティレスキ作「ユディトとホロフェルネス」

アルテミジア・ジェンティレスキ作「ユディトとホロフェルネス」も、いい作品だと思う。

以前イタリアを旅行した際に、カラバッジョが描いた同じ主題の絵をローマの国立古典絵画館(バルベリーニ宮)で見たことがあるが、その影響を受けた作品だと思う。 こちらの作品も、カラバッジョに負けず劣らず、首を切られようとするホロフェルネスのすさまじい形相と、首を切ろうとするユディトの平然とした表情の対比が、なんとも面白い。

パルミジャニーノ作「貴婦人の肖像」

さらには、パルミジャニーノ作「貴婦人の肖像」も、気品のある大変美しい肖像画だと思う。 アンテアと呼ばれているが、実際のところこの女性が誰なのかは、わからないそうだ。

パルミジャニーノの作品がカポディモンテ美術館にあるのは、パルマはファルネーゼ家の領地であったことに由来するそうだ。

他にもいろいろといい作品があって、期待どおりの展覧会だ。 よく知らない主題の作品が多いし、会期も9月下旬まであるので、ぜひまたもう一度見に行きたいと思う。

参考文献

この記事を書くにあたり、以下の本に掲載されている情報を参考にさせていただいた。

  • ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展 -ルネサンスからバロックまで- 図録

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